ユージニア(恩田陸)考察してみた。犯人、動機、謎について

どーも、ミステリー大好きとまほーく(@tomahawkch)です!

ユージニア(恩田陸)を読了しました。

まず読んだ感想としては、結局犯人誰やねん!!

同じ恩田陸氏の「Q&A」を読んだ時も思ったけど、もやもやしたまま心に何かしらのシコリを残して終わるのホントやめて!色々考えなきゃいけないじゃん!!

ってことで、ユージニアの考察してみました。ネタバレあるので、読んでない人は注意!

多分この本は、読んだ人の分だけ解釈があると思いますので、合ってる間違っているというよりは

「あなたなりの答え」

を導き出すことの手伝いに少しでもなれば嬉しいです。

まず、ユージニアの意味

まず「ユージニア」というタイトルは、緋紗子が青年を呼ぶ時の「友人(ユージン)」が語源で間違いないですよね。

「ユージン」+地名接尾辞「ia」で「ユージニア」。ユージンの国。

13章で出てきていますが、分かりづらかったので、念のため触れておきます。

真犯人について

いきなり私の答えを言うと、真犯人は緋紗子の母親だと思っています。

そして緋紗子青年は準犯人であり、母親の犯行に便乗した、というのが私の仮説です。

また、不穏さに気付いて、止めようと思えば何かしら止めるチャンスが順二とキミにあった、という結論に落ち着きました。

緋沙子の母親が犯人だとしての動機は、14章で満喜子が思った通り、目が見えない緋沙子のための「奇跡」、その代償として「大きな犠牲」を考えたのではないでしょうか。

自身も毒で亡くなりますが、それも犠牲の一部と考えていたんだと思います。

緋沙子は、そんな母の行動を知っていて、止めるべきだと思いながらも、本気で止めることはしない。

そして、ユージンを使い、自分が一人になれる世界を作ろうとした、という想像です。

普通に読み進めると緋沙子が犯人のように思える描写が多いのですが、満喜子や刑事が追いかけても緋沙子が犯人だという確固たる証拠が得られなかったのは、緋沙子が真の犯人じゃないから、と考える方が納得がいくかなと思いました。

あくまで母親の犯行に便乗し、ユージンを使うことで自らの手は汚さない犯行だったため、ここまで真相がふわふわしたんじゃないだろうか。

それでも残る謎

本書の問題点は、誰か特定の人物を犯人として考えても、何かしら謎が残っちゃうんですよね。

どこかスッキリしないところを残したままだから、断定できない。

一応、上で私の仮説を書きましたが、全然違う可能性だってあります。あーでもない、こーでもない、と考えることが本書の読後の楽しみなのは間違いありません。

ミニカーを置いたのは誰だ?

例えば、ミニカーを置いた人物。

佑がポケットにいれたはずのミニカーを出せるのは、佑本人が一番可能性が高いのですが、佑が事件に絡む要素が見つからなかったんですよね。

ポケットにしまっておいたミニカーをわざわざ廊下に置くとは思えないし。

次点で、佑に近い人物かつ事件が起こることを知っていた人物であれば、佑からミニカーを取り上げ、あるいは預かり、廊下に置くチャンスはあったかもしれません。

その条件で、事件の内容が毒物入りのドリンクだと分かっていた人物となると、緋紗子あるいは順二でしょうか。ミニカーということを考えると、順二の可能性が高いのかな。

ただ、ミニカーの描写のある3章は『忘れられた祝祭』の一部であろうことは推測できるので、そこに書いてあることは満喜子の作り上げたフィクション(現実とは違う)と考えて、気にしすぎないのが正解なような気もします。

キミに電話を掛けたのは誰だ?

みんなが毒を飲む直前にかかってきた電話は誰がかけたのか?

キミを毒から助けようとしたと考えるのが自然なので、これもやはり緋沙子っぽいのですが。どこかで聞いたことがある声、というキミの証言から、緋沙子ではないだろうことが分かります。

となると、緋沙子がユージンに協力してもらって、養護施設の子供にかけさせたというのが本命でしょうか。

順二が猫に飲ませた毒は誰が仕込んだ?

順二が青澤家に1回目に行ったときにもらったジュースには、その後の猫の様子から既に毒が入っていたことが分かります。

その猫への毒見を、満喜子がガラス越しに見ていたと白い繭だとすると、午前中の出来事。

でも、満喜子の記述だと、黄色い雨合羽の青年がビールを運んできたのは午後一ですから、順二が持って行ったジュースはまだ青年が持ってくる前のものということになります。

では、一体誰が毒を仕込んだのか。

順二は自殺までしてこの手紙を残していますから、その証言が嘘だったとは考えづらい。(嘘をつくメリットがない)

だとすると、満喜子の『忘れられた祝祭』の記述には、やはり真実でない部分が多く混ざっていると見るのが正しいのでしょうか。

まとめ

考えれば考えるほど、何が正しいのか全く分からなくなってしまう、読む人の数だけ解釈があるような不思議な作品でした。

私の仮説も当たっているか分かりませんし、あなたの仮説も間違っているかもしれません。

明確な答えがあるようなものではないと思いますが、それをあーでもないこーでもないと話す余地を残すのも技量なんだなぁと思わずにはいられない、そんな恩田陸ワールドでした。

とまほーく
とまほーく

仮説に自信ニキ、是非教えてください!

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