ぼく勉のパラレルストーリー連載がもたらすジャンプの功罪

ぼく勉 パラレル漫画

どーも、ジャンプ購読歴20年以上のとまほーく(@tomahawkch)です!

ジャンプがついにやらかしましたね。いい意味で。

『ぼくたちは勉強ができない』本編で報われなかったヒロインたちのパラレルストーリーを連載でやってしまう、という(おそらく)ジャンプ史上初の試み。

私はこのジャンプの判断に、めちゃくちゃに衝撃を受けました。それはもーめちゃくちゃに。

私は生粋のジャンプっ子で、小学生の頃から、アラサーになった現在に至るまで20年以上ジャンプを購読しています。

それはそれは数多くのジャンプ漫画を読んできたと自負しておりますが、当然その中には、『ぼく勉』のようなラブコメもたくさんありました。

しかし、負けヒロインのパラレルストーリーを本編でやってしまう、なんて試みは一度も無かった(はずです)

これは、私の中での大事件であり、そして今回の件がもたらすでジャンプの功罪について、いまの時世も踏まえながら熱く綴りましたので、是非マンガ好きの同士にこの気持ちを共有したい。

パラレルストーリーを連載すること自体の議論

まず前提として、パラレルストーリーの連載については、私は大賛成です。

何を隠そう、私とまほーくは、昔っから「報われないヒロインが報われる世界線を常日頃から求めさまよう」悲しきモンスターです。

本編で報われなかったけど、どうしても幸せになって欲しいヒロインには、同人や創作SSにその救いを求めてしまう程度には重い症状です。

なので、今回のパラレルストーリー連載の件は非常に喜ばしいことだと思っています。

ですが。

それと同時に、「そんなことを公式でやってしまってもいいのだろうか?」という思いも実は少なからず持っておりまして、それがひっじょーーーーーに複雑な心境なのです。

まずはこの思いを伝えたい。

漫画の主人公たちの人生を考えてしまうタチ

喜ばしいことなのに、なぜ複雑な心境なのか。

それは色々な感情があるのですが、無理やり一言で言うならば、

パラレルストーリーなど存在しない、いや、存在してはいけない

というのが漫画界の掟であって欲しかった、という個人的な願いです。

隙あらば自分語りですみませんが、そもそも私が「報われないヒロインが報われてほしい症候群」にかかったのは、これもジャンプ漫画の、『きまぐれオレンジ☆ロード』という恋愛漫画でした。

(私がジャンプを買い始める前の作品ですので、もちろん単行本で読みました)

この漫画には、主人公の春日恭介を強く想う一方で、ヒロインの鮎川まどかに対しても敬愛の気持ちがあり、最終的には結ばれないけど2人の幸せを心から願う、檜山ひかるというサブヒロインがいます。

そのひかるが、とにかく健気で、可愛くて、そして不憫で……。

ひかるが失恋した時は、凄く悲しい気持ちになったと同時に、当時の私には強い疑問と興味が生まれました。

それは、「ひかるの人生はこの後どうなるんだろう」、ということでした。

もちろん、漫画の登場人物ですから、そんなこと自体考えても意味はないんです。フィクションですから。

でも、恭介を思うひかるに感情移入するうちに、ひかるにはもうあんな悲しい思いはしてほしくない。残りの人生を幸せに生きていって欲しい、と願ってしまうようになっていたのです。

そこから私は、結ばれた主人公はもちろんのこと、結ばれなかったサブヒロインたちのその後の人生を想う体質になってしまいました。

パラレルストーリーなど存在しない、という非情な現実

漫画の主人公たちの人生を考えてしまうようになってから、私自身の人生観も変化がありました。

それは、人生はやり直せないからこそ、自身で選んだ選択肢は何よりも重要で、他の選択肢のことがもし心残りだったとしても、心の糧にしていくしかない、ということです。

当たり前のことかもしれませんが、私はそれを漫画から教わったのです。

そんな経験から「パラレルストーリーなど存在しない、人生は一度きりだ」という、願望にも似た考えを、自分だけでなく、漫画の主人公たちにも持つようになりました。

ですから、電影少女で伸子が報われなかったり、いちご100%でさつきが報われなかったり、ニセコイで小野寺が報われなかったりしたときも、涙を飲んで主人公たちの恋愛成就を祝ってきたわけです。

フラれたヒロインたちを、「よく頑張った」と讃え、その後の人生を精一杯生きて、是非幸せになってもらえるよう祈る。

人生にパラレルストーリーは存在しないんだから、と。

恋愛マンガは報われないヒロインがいるからこそ心に残る

いかに漫画と言えど、人生は一度きり、というのが私の中での教訓だったわけです。

(もちろん初めから、設定としてタイムリープやループをするものは別ですよ!ちなみにループものは大好物です)

ホンネを言えば、パラレルストーリーがあるなら見たいに決まっているんです。

報われなかったヒロインたちとの、恋愛の行く末を見たいに決まっているんです。

でもそれが叶わないからこそ、作品として完成されている、という私の中での教訓があるのです。

これはもう人生における私の根本的情緒に繋がると言っても過言ではないほどの、鉄の掟だったのです。

恋愛漫画は、報われないヒロインたちがいたからこそ、その切ない結末が胸に沁みるからこそ、主人公たちの決断が心に残るんです。

ですが、今回のぼく勉で、その禁忌(私の中での勝手な禁忌)が破られようとしています。

それは、大変に喜ばしいことでありつつも、いままで我慢してきた思いが溢れてたまらないのです。

それが許されるなら……。

だったら、今まで報われなかったサブヒロインたちのパラレルストーリーも読ませてください。

ひかるやさつきや小野寺を幸せにしてあげてください、と。

ドラクエ5でビアンカを選ぶわけ

話が飛びますが、私はドラクエ5ではビアンカ一択です。

ビアンカ以外には100%あり得ません。

その固い決意は、実は上述したような「サブヒロインが報われてほしい」という思いが深く関わっています。

というのも、ドラクエ5は人気作品なので知っている方も多いと思いますが、もしビアンカを選ばなかった場合、ビアンカはずっと独身のまま村で一人で暮らしています。

その事実を知ってしまった時に、私はもうビアンカ以外を選ぶことは無くなりました。

あんないい子を、ずっと一人で暮らさせるようなことがあっていいのか?いや、ない(反語)

同じ理由でビアンカ選ぶ人は、多分私以外にもいると思います。

でもゲームだから何回も繰り返せた

とはいえ、ビアンカが一人寂しく生きていくことを知ることができたのは、もちろんドラクエ5がゲームで、何度も繰り返せるものだったからなんですよね。

当たり前ですが、本来は未来のことなんて知りえない情報なんですよね。

知りえないからこそ、そこに悩みが生まれるし、人間らしく葛藤するのです。それが人生だろう、と私は強く思うわけです。

漫画における主人公たちの選択も、そうであって欲しいのです。

悩みに直面して、等身大に悩んで、そして成長していく。

うるかを選んだ成幸のように。

作者の意向と集英社の決断

今回の件は、基本的には集英社の英断だと思っていますが、『ぼく勉』作者の意向もあるようです。

作者コメントでも、兼ねてより連載するつもりだった、とハッキリ書いてありますので、元から構想はあったようですね。

『ぼく勉』人気アンケートでは真冬先生が圧倒的1位なのですが、今回のようなパラレルであれば、推しヒロインが選ばれなくて路頭に迷うはずだった読者にも救いの手となるのは間違いありません。

選ばれなかったヒロインなんていないんだ。優しい世界。

同じく5人のヒロインがいて、先日最終回を迎えたマガジンの『五等分の花嫁』の人気もあり、差別化として今回の判断か?という商売上の理由も考えましたが、今回は無粋なので省きます。

ともかく、全員幸せでいいじゃないか!というパラレルストーリーは、もちろん喜ばしくあり、おおむね歓迎される展開だとは思いますが、これから連載していく作品にどのような影響を与えていくのか、他誌含めた少年漫画界に与えるインパクトは大きいと思います。

まとめ

報われなかったサブヒロインが幸せになるパラレルストーリー。

もちろん大賛成で喜ばしいことなんだけど、人生で大切なことは漫画で学んできたジャンプおじさんにとっては、非常に複雑な心境でもあります。

報われないヒロインがいる。でも人生は一度きり。

そんな切なさを感じられるからこそ、今までパラレルストーリーって暗黙の了解として、あまり推奨されていなかったのではないでしょうか。

私が大好きな漫画『地獄先生ぬ~べ~』の中で、同じくパラレルワールドを扱った「枕返し」という妖怪が出てくる回があります。私はこの回がぬ~べ~の中でもめちゃくちゃ好きです。

この話が子供の時に読むとトラウマになるくらい怖いんですが、今回私が言いたかったようなことが全てそこに詰め込まれているような気がします。

全ては無数にある選択肢のうちの一つでしかない。

でも、自分が選ばなかった世界のことなんて知ることはできないし、ましてやそっちの世界を生きることなんてできない。

だからこそ皆真剣に生きるし、やり直しなんて効かないから人生に情緒が生まれるのだと。

私は漫画からそう(勝手に)教わってきたので、今回のパラレルストーリーの連載は、非常に複雑な心境です。

この思い、伝われ。

とまほーく
とまほーく

よく考えたら、幽奈さんがまさに今連載中の本筋で上手くパラレルストーリー取り入れてたわ。でもいまパラレルを体験しているヒロイン達は負け確定なのが悲しい……。でもそれが人生。

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